2010年6月6日日曜日

祝婚歌

『 祝 婚 歌 』(しゅくこんか)吉野 弘


二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派過ぎないほうがいい
立派過ぎることは
長持ちしないことだと
気づいているほうがいい


完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうち どちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい


互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで疑わしくなるほうがいい

正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気づいているほうがいい


立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には色目を使わず
ゆったりゆたかに
光を浴びているほうがいい

健康で風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そしてなぜ 胸が熱くなるのか
黙っていても
ふたりにはわかるのであってほしい


先日、友人の結婚式の牧師さんのお話の中に出てきたこの「詩」。
数年前の友人の結婚式の祝辞でも聞いた「詩」。
その時、とても感動して、祝辞をお話くださった方にこの詩の名前を聞いていたのに、
忘れてしまって。

この「詩」と再会。とても素敵な素敵な結婚式でした。

こころにこころに刻んでいこう。